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将棋の棋士

なるには難易度 全国の天才将棋少年が集まりプロを目指すプロ棋士養成組織「奨励会」を勝ち抜く必要がある。
難易度はかなり高い。
年齢制限 奨励会に所属していられるのは原則26歳まで。
学歴 特に必要とされない。
収入状況 トッププロならば年収数千万円~1億円以上。
それ以下のクラスの棋士でも生活に困ることは無い。
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職業データ

将棋の棋士とは

◇将棋のプロとは奨励会四段以上の棋士のことを言います。
◇女性もプロになることはできますが、将棋のプロを養成する「奨励会」を勝ち抜いた女性はいません。つまり、女性のプロ棋士はいません。
将棋を職業としている女性はすべて女流棋士と呼ばれる女性専用の棋士です。

・現役の棋士は約150名。(2011年)

コンピューターの台頭

日本将棋連盟はプロ棋士に公式な場でのコンピューターとの対戦を規制しています。
近年、将棋のソフトがかなりの強さになり、コンピューターとの対戦でいろいろな諸問題が発生する事を避けたいようです。

チェスの世界チャンピオンがコンピューターに負けてしまったように、将来的には将棋の名人もコンピューターに負けてしまうといわれています。
現在(2011年)のレベルで、99.99%の将棋愛好者が一番強いコンピューターに勝つことができず、あと10年~20年後にはトッププロですら勝てないレベルにコンピューターが到達すると予想されています。

そうなればプロ棋士の存在理由はどうなってしまうのでしょうか?

ただ、7冠を達成した羽生さんがこんな事をおっしゃっていました。
「勝ち負けだけを争うものなら将棋にそれほどの価値はない。思いがけない発想やドラマチックな逆転が共感と感動を呼ぶ。感動的な俳句を作れないように、コンピューターに人間の共感を得られる将棋は指せません。チェスでは今も人間同士の対局を楽しむファンの数は減っていませんよ」

そう、チェスの世界チャンピオンは、もはやコンピューターには勝てなくなったわけですがチェス自体の人気は下がっていません。
将棋の世界もきっとそうなってゆくことでしょう。

【関連リンク】 日本将棋連盟

将棋の棋士の仕事内容

将棋の棋士の仕事について

棋士の主な仕事は将棋を指すこと。

主なタイトルには名人戦・竜王戦・王将戦・棋聖戦・棋王戦・王座戦・王位戦があり、多くのプロ棋士達がこれらのタイトル戦の対局を中心に活動しています。
対局数はタイトル戦にコンスタントに登場するような棋士でも年間70局程度で、一般の棋士の場合はもっと対局数は少なく年間30局~40局程度。

対局時間はノンタイトル戦で持ち時間、数時間が一般的ですが、タイトル戦になると、持ち時間が両者合わせて、16時間以上のものもあり、2日がかりで対局が行われます。
強くなっていくにつれて、棋力だけでなく、ある程度の体力も必要な職業。

棋士は将棋を指すことだけが仕事ではない

将棋を指している時だけが、仕事時間というわけではなく、対局のない時間も棋士仲間と「研究会」で棋譜・定跡などの研究をしたりしています。

現在、将棋界はパソコンを利用した情報戦になっている状況があり、多くの棋士が研究にパソコンを活用しています。

また、プロ棋士になると将棋のタイトル戦などで、大盤解説会(観客を集めて、舞台上の大きな将棋盤を使用し、一手一手の解説をする)やテレビなどの解説をする機会もあります。
話し上手であれば、そこから棋士としての人気が出ることもあるようです。

一線級のプロ棋士のように、タイトル戦に数多く出場し活躍している棋士もいる一方で、自分で道場をひらき、後進の指導に尽力しているプロ棋士もいます。
勝利を追求する事も重要ですが、プロ棋士の仕事はそれだけではないのです。

将棋の棋士のなり方・仕事のつき方

将棋の棋士になるには

将棋のプロ棋士になるには主に3つのルートがあります。

なりかた1

(なりかた1)
プロ棋士の師匠に弟子入り

奨励会入会

各段位リーグを勝ち抜く

最終的に三段リーグを勝ち抜く

プロ棋士(四段)

将棋のプロ棋士養成機関である【奨励会】に入会し、プロになるルート。

奨励会入会試験の受験資格は満19歳以下で四段以上のプロ棋士から受験の推薦を得た者となっていて、奨励会への受験に際し、まずプロ棋士の弟子(推薦)になる必要があります。
弟子に、どのようにしてなるのかは通っている将棋道場の関係者のツテなど、いろいろとあります。
有名な将棋道場に問い合わせてみると良いでしょう。
日本将棋連盟では師匠の紹介はしていないそうです。
詳細はこちら

奨励会への入会試験ですが、1次試験・2次試験とあり、基本的には対局が中心となり、面接や筆記試験などもありますが、棋力が強ければ問題はないようです。

ちなみに奨励会にはいるには、アマチュア四段クラスの実力が必要だといわれています。
小学生時代から奨励会へ入会する人も多く、能力次第で年齢はあまり関係ありません。
有名な谷川浩司さんや羽生善治さんなどは中学生でプロ棋士になりました。

無事に奨励会に入会できれば、後は順次、級位・段位を上げ四段(プロ棋士)を目指します。
奨励会は七級から三段までで構成されていて、二段までは、関東・関西にそれぞれ分かれて奨励会員同士で対局を行い、規定の成績を収めたときに昇段・昇級することができます。

三段に関しては、関東・関西合同のリーグ戦が行われます。
奨励会三段リーグは約30名の中で、上位2人に入れば昇段となり、プロ棋士になることができます。
三段リーグは年に2度行われ、半年に2人、一年で4人しかプロになることはできません。

ただ、奨励会にいられるのは、26歳までとの年齢制限があり、26歳を超えてしまうと強制的に退会となります。(三段リーグで勝ち越している場合に限り、満29歳まで在籍することができます)

三段リーグに在籍している人は、ほとんどが学生か無職の人生を将棋にかけている人ばかりで、熾烈な戦いが繰り広げられています。
プロになれるのは割合として5人に1人程度、つまり80%の人はプロになることができず、何度チャレンジしても昇進できない人がほとんどなのです。
仮にプロになれなかった場合は、将棋だけに人生をかけてきた26歳が、いきなり社会に放り出されることになります。
厳しい世界だといえるでしょう。

なりかた2

(なりかた2)
プロ棋士と公式戦で対戦し、勝率6割5分以上、10勝以上の記録を残し
プロ編入試験の受験資格を取得する

プロ棋士と対戦し、試験を受ける

6戦中3勝以上で合格

プロ棋士(四段)へ

このなり方はプロの登竜門である「奨励会」を経ずになるコースで、かなりの難関といえます。

まずアマ棋士として活躍し、経験を積み、棋戦に勝利していくとやがて、公式戦でプロ棋士と対戦する機会があります。 (銀河戦・竜王戦・朝日オープンなど)
そこで、10戦以上プロと対局し、勝率が6割5分以上であれば、プロ編入試験の受験資格を取得することができます。

プロ編入試験は、プロ棋士との6局対局があり、3勝以上で合格となります。
2005年に瀬川晶司さんがこの制度(当時は制度化されていなかった)で見事プロ棋士になられました。(この出来事を元に制度化となりました)

ちなみに、瀬川さんは元々奨励会出身で、三段リーグの年齢制限により、26歳で退会させられた経歴をもっています。 その後は大学に進学し、一般の企業で働きながら将棋の勉強を続け、アマチュアでの実績を積み上げて、頑張ってきたそうです。

瀬川さんはプロ編入試験制度の無い時にも一生懸命将棋の勉強をし、公式戦でプロに勝利することによって自ら道をつくり、プロ棋士の地位を掴みました。

なりかた3

(なりかた3 奨励会三段リーグ編入試験)
アマ竜王戦・アマ名人戦・アマ王将戦・赤旗アマ名人戦
支部名人戦・朝日アマ名人戦
いずれかのアマ6棋戦で優勝者でプロ棋士の推薦を受けた者

奨励会3段編入試験を受験する
(奨励会二段と8局対局し、6勝以上で合格)

合格

奨励会三段リーグに編入

奨励会三段リーグを勝ち抜く

プロ棋士(四段)へ

まず、アマチュアとして実力をつけ、アマ竜王戦・アマ名人戦・アマ王将戦・赤旗アマ名人戦・支部名人戦・朝日アマ名人戦、いずれかの棋戦で優勝する必要があります。

アマチュア棋戦の優勝経験を持ち、棋士の推薦を受けられれば、「奨励会三段リーグ編入試験」を受験することができます。
「奨励会三段リーグ編入試験」は奨励会二段の対局者と8戦対局し6勝以上で合格。

奨励会三段リーグ編入試験に合格すると、次は奨励会三段リーグで、プロ志望の奨励会三段の若者達と対局することになります。
奨励会三段リーグを勝ち抜く条件は、奨励会二段から昇段した人と同条件で、三段リーグの中で上位2名に入れば、プロになることができます。

奨励会三段リーグ編入試験を経て、三段リーグに編入した場合は、リーグに2年4期しか在籍できません。2年を過ぎてもプロになれなかった場合は自動的に退会となります。
ただ、退会となっても、奨励会三段リーグ編入試験は何度でも年齢に関係なく受験できるため、再チャレンジは可能です。

「奨励会三段編入試験」はかなりの難関試験です。
奨励会三段に在籍している若者は、無職や学生など時間に余裕があり、人生を将棋にかけている人ばかりで、アマチュアで活動していた人が勝ち抜くことは、条件的にかなり厳しいといわれています。

将棋の棋士の年収・収入・給料は?

棋士の収入について

収入は安定している職業といえます。

各対局には対局料が設定され、1回の対局で「~万円」(竜王戦の場合、決勝トーナメント1回戦で1局45万円~190万円)と決められていますが、基本的に将棋の棋士は対局をすればするほど、強ければ強いほど、収入が増える仕組みになっています。

将棋には大きく7つのタイトルがあります。
各棋戦は基本的にトーナメント形式になっていて、各棋戦の上位トーナメントになるほど対局料が上昇する仕組みになっています。
賞金は一番多い「竜王戦」で3200万円。

タイトル戦に頻繁に出てくるような、トッププロ(羽生善治棋士や谷川浩二棋士、佐藤康光棋士など)で一億円から数千万円の収入になります。
賞金や対局料のみで十分に生活していけるのは、ランキング上位40人程度といわれ、それ以下の棋士は将棋イベントに参加したり、指導対局などで収入を得ます。
連盟からの基本給や対局料、タイトル戦などの賞金の他に、対局指導や解説、書籍など対局以外の収入も期待できるため、収入面では恵まれているといえるでしょう。
一般的な棋士の場合、成績にも左右されますが、年収1千万円程度が平均的だといわれています。

棋士の基本給(月額)
所属するリーグのランクなどによって決定され、上位ほど高給が支給されます。基本給の他に、年2回ボーナスが支給されます。
◇名人:約106万円
◇Aクラス:約65万円
◇B1クラス:約50万円 
◇B2クラス:約33万円
◇C1クラス:約21万円
◇C2クラス:約17万円程度
◇フリークラスは基本給はなし。

プロ棋士の指導などの派遣料
九段 315000円(大会審判)
八段 210000円(大会審判)
七段 78750円(月1回稽古3時間)
六段 47250円(月1回稽古3時間)
五段 42000円(月1回稽古3時間)
四段 36750円(月1回稽古3時間)

2010年度 年間獲得賞金・対局料ランキング
1.羽生善治 1億1576万円
2.渡辺明  6240万円
3.久保利明 4829万円
4.森内俊之 3270万円
5.深浦康市 3173万円
6.佐藤康光 3018万円
7.三浦弘行 2850万円
8.藤井猛 2410万円
9.丸山忠久 2372万円
10.広瀬章人 2136万円

日本の将棋界は新聞社が支えている

日本の将棋界は主に新聞社からのバックアップ(賞金)によって支えられています。

読売新聞の竜王戦:3億4150万円
朝日・毎日合同の名人戦:3億6000万円 など

最近は広告の多様化(インターネットなど)や広告量の減少によって、新聞社が赤字になることもあります。
新聞社の経営状況によっては、将棋界の将来も厳しいものになっていくのかもしれません。

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