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「声優」 姫野つばささん
職業インタビュー 1

姫野つばささん

姫野つばささん
東京都在住

女子大学四年次夏、映画専門学校の卒業制作映画役者オーディションでの主演採用をきっかけに、大学を中途退学。

以降、タレント事務所、声優養成所を経て、声に関する仕事を中心に、フリー声優として活動中。

-1日の仕事の流れは?

お仕事によってまちまちですが、どんなに近いスタジオでも収録の3時間前には起きているようにしています。
出発前には自宅で出来るだけ喉を温めておきます。
(腹式呼吸や発声等)
体を温めておくと声が出し易くなるので、簡単にストレッチ等をしながら声を出している事が多いです。

収録時に満腹過ぎず空腹でない状態を作る為に、食事は必ず摂ります。
どんな仕事でも同じことですが、遅刻は厳禁なので時間に余裕を持って出発します。
私はかなりの方向音痴なので、スタジオまでの道で迷う事も想定して動きます。
早く着き過ぎても迷惑なので、時間によってはコンビニ等で時間調整もしたりします。

収録の内容や時間によっては、30分から1時間程カラオケBOXに立ち寄って、 しっかりと声出しをしてから向かうこともあります。
現場入りして収録に掛かる時間は本当にそれぞれで、 原稿があらかじめ手元にある場合と、現場で渡される初見の場合とでは準備時間が異なります。
大抵の場合、挨拶回りを済ませて、ディレクターさんやPAさんと打ち合わせ次第、すぐに開始となります。

今までの最速収録完了時間はおよそ10分程度で、最長で一日14時間拘束だったことがあります。
最速はFMで流すCMナレーションで、最長はゲームのCV(キャラクターボイス)でした。
喋りっ放しのこともあれば、拘束時間は長くても自分の出番はほんの数分、ということもあります。 収録が済むと打ち上げがある場合もありますが、大抵即時解散です。
あくまでフリーとして活動している私の場合は、ですが・・・(笑)

-1日の勤務時間や休日の状況は?

短い時は10分以内、長い時は丸一日の拘束です。
お仕事も不定なので、休日も不定休になります。
急な事態にも対応可能なように、ある程度、時間に融通の利くアルバイトを選んでいます。
全くフリーでお休みの時は、お買い物に行ったりカラオケに行ったり、 至って普通の女の子です(笑)。
翌日に収録があったりすると、あまり帰宅が遅くならないようにしたり カラオケ等は避けたりと、多少考えて遊んだりしますね。

-声優になるまでの経緯を教えて下さい?

元々スタジオミュージシャンだった父の影響で、音楽が好きでした。
高校の頃は校則違反だったバイトをしてアコギを買って、 デュオを組んでいた相方と土手で練習をしたり、路上で弾き語りをしたり、文化祭で披露したりと、 音楽の方で青春していました。

でも、演劇部だったこともあって、演技することが大好きだったんです。
国語のグループ発表の時には、普通のことするのはつまらないからと言って、物語の発表担当部分を台本に起こして、演劇にして読み聞かせる形にして発表したりと、今振り返ると演技に触れようと無意識にしていたように思います。

歌も好きだけど、演技が大好き。
ルックスに自信があるわけではないので、アイドルになりたいわけじゃない。
それでも両方出来るお仕事は・・・と模索していた時、声優を目指していた友人が言ったんです。

「あなたは私よりもずっと声優に向いてるね。あなたが声優になってくれたら、私の夢も一緒に叶う気がしちゃうな。 私は声優には向かないって自覚があるの。
でも絵を描くことは好き。アニメーターを目指そうかなと思ってるんだ。 今学校のこともいろいろ調べてるの。もし私がアニメーターになったら、絶対に声優ではあなたを使いたい。
こんなこと言うのも何だけど、その気があったら私の代わりに夢を叶えてくれない?
つばさ、声優になってよ。」

彼女は出会った時からずっと「声優になりたい」と言い続けていて、声優というお仕事についてよく知らなかった私にとって そんなに魅力的なものなんだなあ・・・位にしか思っていませんでした。

それでも彼女のお陰で、「声優」というお仕事を意識するきっかけが出来ました。
意志の強い彼女の諦めと希望をはらんだ発言は私を大きく揺さぶって、 進路を考える時期になると、もう私の頭は「声優」一色に支配されていました。

声優専門学校に進学したくて、夏休みの間に体験授業も受けに行ったりしたんですが、親の反対もあって、結局は人生の保険も考えて・・・演劇科のある女子大学に進学しました。

でも、授業内容は座学が9割で、実技はほとんど無くてフラストレーションが溜まっていって・・。
演技がしたくて、声が出したくてたまりませんでした。
サークルで入った軽音のボーカルで発散するだけの数年間を過ごしました。

そして、大学四年の夏、何気な~くソーシャルネットで募集を見掛けたとある映画専門学校さんの 卒業制作映画の役者オーディションに挑戦してみたら、何と主演で合格したんです。

でもその作品の撮影に臨むと、四年前期の期末試験を受けられないスケジュールで・・・。
そこで単位を落とすと、無条件で一年留年が決定して、それだけの為に100万近い学費が掛かる計算だったんです。
それで親と喧嘩もしましたが、親不孝な方を選んで、思い切って役者の道に飛び込んだんです。

大学を四年の夏に中退して、映画に出て、その後声優科のあるタレント事務所に入って声優のレッスンを初めて受けたり、 声優養成所に入ったり・・。
初めて声のお仕事でお金を貰ったのは、 TVのバラエティ番組の再現VTRで、社内放送の声を担当した時でした。
300人以上のボイスサンプルから選んで戴いて、声で出演して・・・ たった二言三言でしたけど、感激で感動で、決まった時も出演した夜も、すごく涙が出たのを覚えています。
「声の出演をして下さる姫野さんです」 と現場で紹介を受けて拍手で迎えて戴いた時、怖くて、でもそれ以上に嬉しくて嬉しくて・・・。
一生声のお仕事でお金を貰えるようになりたいって思いました。

-声優の収入状況を教えて下さい。

お仕事によりまちまちです。時給ではなく、基本的に一本いくらです。
今までのお仕事で最高額だったものは、15分程度の拘束時間で5万円。
ただしフリーなので、プロモーションも兼ねて無料でご協力することも少なくは無いですし、 交通費程度だけ2、3千円頂戴出来るものや、10時間を越える拘束時間でも交通費も込みの3千円で頑張ったこともあります。

ただ、これはフリーの私の場合のお話で、 事務所に入り、きちんと登録声優になった場合は、新人さんは一本いくら・・・等と決まりがあります。
事務所へのマージンも発生するので、実際の受け取り額はケースバイケースで異なりますが、声優業だけで食べて行ける人はほんの一握りで、多くの人はアルバイトをしながら頑張っています。
昔はそれだけで生活出来るのは百人に一人と言われた声優業ですが、 今はすっかり人気職業化していて千人に一人以下と言われているそうです。
事務所によっては定額制の所もあり、仕事の量に関係無く毎月決まったお給料を戴ける所もあるようですが、 当然いろいろとリスクもあり、中々厳しい世界です。
好きなことをお仕事にして、食べていく為の生業にするのは本当に難しいことだと思います。

 

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